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二 当流臓腑の弁 4肝相火

 肝の臓と号するは両章門しょうもん、並に章門の上下なり。
ここに邪気出るときは必ず眼目まなこいたみ疝気せんきりん病、胸脇むねわきひきつり痛み、息合いきあいみじかく、きわめて短気にしてすき物をこのむ。又は足のすじひきつること、さてもろもろの病に寒気さむけを出すは、皆以てかんしわざなり。肝瘧かんしゃくなど云も此処に邪気あり。針して邪を退しりぞける時はいゆる。

「邪気出る」とは、肝が邪気の発生源という事を示しているのでしょうか?
「息合」は、呼吸の調子の事です。
「肝瘧」肝の瘧と書いて「かんしゃく」と読み仮名がついています。瘧は、癪の誤りでしょうか?それとも意図的に瘧としているのでしょうか?癇癪の事であれば、神経過敏で怒りやすい状態で、中医学で言う所の肝鬱気滞や肝火上炎などを指すと考えます。
「疝気」は腰痛をともなう下腹部に発作性で反復する激痛を呈する病です。


肝の臓と呼ぶのは、両側の章門そして章門の上下の場所です。
ここより邪気が出るときは、必ず目の痛みや疝気、淋病、胸脇部のひきつる痛み、短い呼吸で、とても怒りっぽくなり酸味を好みます。
また、足の筋がひきつり、様々な病で寒気が出るものは、みな肝よりくるものです。
癇癪の類も、ここに邪気があります。
針をして邪がしりぞくと、病は癒えます。